2015年のDMP業界全体について
概要
あけましておめでとうございます。インティメート・マージャーで代表をしている簗島です。本日から弊社も営業が再開され、メンバーもさらに2名本日から増えました。2014年は人もビジネスも大きくのびた1年になりましたが、世の中で注目されているよりはDMPの業界自体あまり拡大されなかったなという印象を受けます。むしろ、代理店さんとかと話をしていると、DMPを売るのをやめたとか、売るのが大変なので売らないようにしたとかそういう話をよく聞くようになった1年かなと思っています。(実際、ちらほら撤退とかの話を聞くようになったり、リプレイスの案件がすごく多かったりと、いろいろ大変そうな会社も聞きます。)
そういった側面から今年は僕らのビジネスというよりもDMPのビジネスとして正念場かなと思っています。なので、DMP自体の使い方やこの業界自体がのびるために必要な情報を出していければと思っています。今回のエントリーは特に以下の3点にしぼって2015年のDMP業界全体についてお話をしていきたいと思っています。
- 各社のビジネスモデルについて
- DMP業界に足りていないもの
- 2015年の動きについて
各社のビジネスモデルについて
様々なサイトでそれぞれのDMPのプレイヤーの比較が出されていますが、特徴を各社がいっている内容で比較してしまうと各社だいたい同じことをいっているので比較が難しいと思います。各社のマネタイズポイントと扱っているデータを中心に分類すると各社の特徴が見えるかなと思います。
マネタイズポイント
マネタイズのポイントがチャネルに依存しているか、依存していないかというのが大きなポイントかなと思っています。例えば、DSPと一体型のDMPだと広告配信を行うとDMP自体の費用はかからないとか、DMPを包含している特定のツールを効率よく利用してもらうためのツールとして使われます。逆にチャネルへの依存度が低いツールはデータの利用料やデータ連携先との連携費用でオプション課金を行っているケースが多いです。
扱っているデータ
こちらは去年からよくいわれている1st partyデータと3rd partyデータとなります。自社のデータを中心としたCRM風の使い方をされるDMPと様々なデータソースのデータを活用する見込み顧客獲得用のDMPとが大きく分けられると思います。
現在のDMPのプレイヤーのマッピング
ちょっとプレイヤーが増えてきたのでそれぞれサービス名または会社名で記載をしています。
このようにビジネスモデルでみてみると右下にプレイヤーが固まっているイメージがあります。ここには元々CRMツールをやっていたプレイヤーやデータストレージを取り扱っていたプレイヤーが多い場所だったりします。また、左下も元々DSPの会社がDSPの機能をリッチ化するためにDMPを開発していたりするため、プレイヤー自体がかなり多かったり、既存のプレイヤーを買収してここにいるプレイヤーがいます。
DMP業界に足りていないもの
こちらも大きく分けて2点DMPの業界に足りなかったものがあるかなと思っています。
一個目は「システムの手堅さ」の評価です。プライベートDMPといわれるクライアントデータを扱う業態を行っている会社全体にいえるのですが、初期導入費用が数十万円だけのプライベートDMPから構築するのに数億円かかるプライベートDMPまであります。多くの場合は機能を評価するための一覧を見せられそれに対するまるばつ表を元に評価をされるのですが、機能表レベルでは10万円台のプライベートDMPでも数億円規模のプライベートDMPでもだいたいできることは同じです。では、どこで一番差が出てくるかというところが「システムの手堅さ」かなと思っています。SIerが作る何百枚もの要件定義書があるシステムとjavascriptのタグを置くだけのシステムは機能面にはでないシステムとしての手堅さがでます。今後はシステムとしての手堅さもプライベートDMPの導入時には評価が必要かなと思っています。
二個目は「データを活用するプレイヤー」の評価です。データを活用するという部分について想像がうまくできているプレイヤーというのは想像をよりも少ないと思います。どのデータをどのチャネルで使うべきか、データを使うというのはどういうことかということについてさらに考えていかなくてはいけないと思います。例えば、KPIをみながらターゲットのユーザーへのリーチが減ったら、広告配信ツールを改善すべきだとか、サイトへの誘導効率をあげるには?CV単価をあげるためには?といった一般的な課題に対してすぐにデータとツールの組み合わせができるようなプレイヤーがこれから増えていく必要性を感じます。
2015年の動きについて
2015年は以下のような取り組みが進んでいくかなと思っています。
- プライベートDMPの費用の二極化
- 海外プレイヤーの躍進
- DMP活用事例の共有化
プライベートDMPの費用の二極化
これは既に始まっている気もしますが、SIerがプライベートDMPの構築をしているというケースは増えてきています。一方、社内にデータ活用のノウハウがあまりない会社は初期に数億円規模の投資をすることが難しいため、廉価版のDMPを導入して費用対効果や利用用途に合わせて機能を拡充していくという流れが進んでいくと思います。
海外プレイヤーの躍進
単に海外プレイヤーの躍進が行われるというよりも国内プレイヤーとの連携を行い、それによって海外プレイヤーが躍進するというのがあり得るかなと思っております。データの活用自体は国内よりも海外の方が進んでいる企業が多く、ベストプラクティスを持っている海外プレイヤーが国内プレイヤー(主にデータ部分)と組んでベストプラクティスを再現するという流れが進んでくるのではないかと思っています。
DMP活用事例の共有化
これは海外プレイヤーの躍進に近いですが、データを活用できる会社の分母が増えない分にはDMPの業界があまり成長しないという問題があります。今まであまりDMPの活用事例が紹介されることはなかったですが、今年は積極的に共有していきたいと思っています。ここの部分に関しては弊社も力を入れていきたいと考えていますのでブログやその他記事での事例紹介をお待ちください。
最後に
年始の挨拶として固いものにはなりましたが、今年は我々の会社にとってもDMP業界・データ関連ビジネスを行う会社にとっても重要な年だと思っております。今までおつきあいのあったクライアントにはさらに大きな価値を提供し、これからお付き合いがある会社には新しい価値を社員一同提供できればと思っておりますので、今年もよろしくお願いします。